「劇場は可能か」、最初のインタビューはKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭を立ち上げたロームシアター京都プログラムディレクターの橋本裕介さんでした。思った以上に重要なお話をうかがうことができました。
橋本さんは今ニューヨークで研修中で、ファンディングの仕組みを研究しています。あいちトリエンナーレが一つのきっかけだったそうです。
税金ではなく寄附を主な財源とした米国の芸術支援制度では、あらかじめ決まった芸術の価値が共有されているわけではなく、寄附を募るために一人一人を説得するなかで、そのたびごとに価値が共有されていく。日本の芸術関係者は、政府や自治体の補助金がそれなりに整備された分、その努力を十分にしてこなかったところもあるのではないか、と橋本さんはおっしゃいます。
一番「なるほど」と思ったのは、日本で寄附制度を充実させるとすれば、地域版アーツカウンシルがその受け皿となるのがよい、というご提案でした。地域版アーツカウンシルの予算は主に自治体や政府に依存していますが、やりたいことに合わせて財源を多様化していけば、より自由に活動できるというのです。米国の仕組みでは、個人のネットワークに依存してしまいがち、体系的・包括的ヴィジョンが描かれにくい、といった問題があるそうですが、地域の芸術活動を支えたい人たちと地域のアーティストたちを地域版アーツカウンシルがつなぐことができれば、そういった問題もある程度解消できるかもしれません。
橋本さんは、「劇場」とはそもそも表現によって要請されて、育まれてきたものだとおっしゃいます。だから、劇場で働いていると、劇場も少しずつ変わっていく。物理的建築物があるからこそ、そこに残された痕跡が歴史的リソースになり、表現自体を更新する手がかりとなっていく。
ボトムアップでフェスティバルや劇場を作ってきた橋本さんの経験に裏打ちされたヴィジョンに触れて、だいぶ希望が湧いてきました。録画視聴の申し込みは以下で随時受け付けています。ぜひ多くの方に聞いていただきたいと思います。
https://docs.google.com/document/d/1c0AcRmH1GKlbLfu5W_DnwICJCSMz3Rdob11YtkCslbs/edit?fbclid=IwAR1HCFqG6Yrif4EI_KkkQATqhoPhIyAImIWmEioOAl_gPZIsfLo7cLU16fI