舞台芸術制作者という職業はいつ頃できたのでしょうか。最近たまたま読んでいた本によれば、少なくとも紀元前3世紀頃にはそんな仕事をする人がいたようです。アテナイの悲劇喜劇文化が地中海世界全体に広がって、いわば国際的なツアーが増えていったヘレニズム時代には「演出助手(ヒュポディダスカロス)」 という職名が見られます。この人は現地での稽古や上演準備を担っていたようです。
その時代、俳優・スタッフたちがディオニュソス芸能者組合というのを立ち上げて、芸能実演家の権利を守ったり、マネジメント業務を行ったり、やがてはフェスティバルの立ち上げまで請け負うようになっていきます。
ツアー先とコンタクトをとって、公演料の交渉をして、出演者やスタッフを手配して、小道具や大道具を手配して、アゴアシ枕を手配して等々、ネットどころか郵便もなかった時代の国際事業のマネジメントは大変だったでしょうね…。
(José M. González, The Epic Rhapsode and His Craft: Homeric Performance in a Diachronic Perspective, Washington DC, Center for Hellenic Studies, 2013, p. 485.)
カテゴリー: 文化政策
コメントを残す