昨日の日仏ギリシア・ローマ学会WEBセミナー「アリストパネスとその周辺」はとても面白かった。(以下、ながら聞きのうろおぼえメモなので、間違っていたら教えてください…。)近代以降の自然環境破壊の根源の一つを古代ギリシアのロゴス概念に求め、人間はロゴスによって自然を支配しようとしてきた、というような話が、近年よく語られている。アリストテレスによれば、人間はロゴスをもつ唯一の生き物(『政治学』)。だけどアリストパネスの喜劇を読むと、人間とロゴスの関係はだいぶ違って見えてくる。
例えば、借金を踏み倒すための「ロゴス」を学びに行く話(『雲』)。ここではロゴス≒屁理屈。でもそれを教えて儲けようとする人すらいるらしい。アリストパネスの喜劇では他の動物も人間と同じように話すし、みんな自分なりの理屈に従って生きている。時には人間も他の動物に学ぶべき、という話。
最後は、口と肛門はつながっているという話。人は時として排便するように言葉を吐く。自分が利益を得るために。それを聞いて、藤田恒夫の『腸は考える』を思い出した。動物の基本は口から肛門までつながる腸で、とにかく生き延びるために栄養を取り込むというのが目的。そのために触覚や味覚や嗅覚や聴覚や視覚が必要になり、そのために神経系ができ、脳ができていく。唯脳論ではなく唯腸論で人間を眺めてみれば、言葉を吐く口と栄養を取り込む口は、結局同じ目的を果たそうとしているに過ぎないのかもしれない。
「アリストパネスとその周辺」、話す口と食べる口 へのコメントはまだありません カテゴリー: 古代ギリシア演劇